奇異なる二重の天秤の盤の上に、見えざる「影」の
犯した悪行と、未行はれずして止んだ善行とを量つてゐるのである。
今まで興奮して朦朧としていた意識が、ようやく落着くと、彼は、自分が主殺しの大罪を
犯したことに気がついて、後悔と恐怖とのために、そこにへたばってしまった。
ことにその罪人が、
犯した罪を少しでも後悔し、懺悔でもしているような様子が見えると、裁判長の判決は、立会の検事を呆気にとらせるほど、寛大でありました。
豪胆な、そうして支倉の
犯した罪については少しも疑念を挟んでいなかった彼は、こんな呪の手紙位にはビクともしなかった。
私が如何にして斯る重罪を
犯したのである乎、其公判すら傍聴を禁止せられた今日に在っては、固より十分に之を言うの自由は有たぬ。
日本は世界の進運に從い、統制主義國家として新生してこそ過去に
犯した世界平和攪亂の罪を正しく償い得るものである。
閣下、並に夫人、予は過去に於て殺人罪を
犯したると共に、将来に於ても亦同一罪悪を犯さんとしたる卑む可き危険人物なり。
この日本の国体の順逆を
犯した不祥の事変は日蓮の生まれるすぐ前の年のできごとであった。
朝になって理性が戻ってきたとき——一晩眠って前夜の乱行の毒気が消えてしまったとき——自分の
犯した罪にたいしてなかば恐怖の、なかば悔恨の情を感じた。