下手な料理で、ものの本質を殺し、せっかくの持ち味を台なしにしてしまうごときは、天に
背くものといえよう。
治癒の見込のない患者を手術するのは医師としての良心に
背くけれど、人間として考えて見れば、この際、潔く患者の願いをきいてやるのが当然ではあるまいか。
で、
背くぐみに両膝を抱いて、動悸を圧え、潰された蜘蛛のごとくビルジングの壁際に踞んだ処は、やすものの、探偵小説の挿画に似て、われながら、浅ましく、情ない。
此の現在事実に
背くことを考へるのは、現在相違といふ下らないことです。
その選出議員が実地の問題に遭いて生平の持説に
背くことなきか、選挙人たる者、沿革変遷の上より今日世に存する政論の種類を考え、もって選出議員の言動と比較せよ。
名幅を、名器をと羅列せざる茶は、まったく茶道に
背くものであるという私の持論からいえば、プロの立ち寄る場所でないことになるのである。
そしてこの命令に
背く時、われわれの生は、われわれの自我は、停滞し、腐敗し、壊滅する。
それはそうとどんな風に書こうかな……そうしなければ没書になる恐れがあるし、わざわざ時勢に
背く必要もない。