しかも死人のからだにはなんの
疵のあとも残っていないのである。
勿論、主人の上野は首を取られたのですから、療治も手当てもなかったでしょうが、吉良の息子や家来たちの
疵を縫ったのでしょう。
つい眼と鼻のあいだの出来事であるから、検視のまだ下りないうちに半七はすぐに其の場へ駈け付けてみると、死んだ男のからだには何も怪しい
疵のあとは無かった。
もちろん大きな
疵でもなく、薄雲もふだんからその猫を可愛がっているので、別に叱りもしないで其のままにして置きました」
自分の使っている人形の顔へ、なんの遺恨でこんな大
疵をつけたのかと彼は紋作にはげしく食ってかかった。
いえ、死にゃあしませんでしたけれど、顔へ
疵をこしらえて……。
お蝶は上品な美しい娘で、すこし寡言でおとなし過ぎるのを
疵にして、若い客をひき寄せるには十分の価をもっていた。
と興に乗じた隊長は斜な陽を、刃
疵のある片頬に浴びながら、あぶみを踏んで一膝のり出した。
馬「木地で化粧なしで綺麗だから、何うも得て何処か悪い所の有るもんだが、こりゃア
疵気なしの尤い玉で」