やっと木樵りを
突き離した彼女は美しい、——というよりも凜々しい顔に血の色を通わせ、目じろぎもせずにこう言うのです。
松木は、防寒靴をはき、ズボンのポケットに両手を
突きこんで、炊事場の入口に立っていた。
「退け! 何を見ていやがるんだ」と、怒鳴りつけたばかりでなく、荒々しくその青年を
突き退けました。
何しろ一刀とは申すものの、胸もとの
突き傷でございますから、死骸のまわりの竹の落葉は、蘇芳に滲みたようでございます。
そこで甚太夫がわざと受太刀になった時、奮然と一本
突きを入れた。
そういううちにも、なだれを打って逃げ迷ってくる半狂乱の人々に押されて揉まれて、二人も幾たびか
突き顛されそうになった。
なにかの手がかりを見付け出すために、達磨は無残に
突きくずされて其の形骸は滅茶苦茶に破壊されてしまったが、男の死骸以外にはなんの新らしい発見もないらしかった。
「紋」は、つい近ごろ、他家の台所で魚を盗んだり、お櫃の蓋を鼻さきで
突き落して飯を食ったりすることを覚えた。
女中は遁げ腰のもったて尻で、敷居へ半分だけ
突き込んでいた膝を、ぬいと引っこ抜いて不精に出て行く。
仕事は放擲らかして、机の上に肘を
突き兩掌でぢくり/\と鈍痛を覺える頭を揉んでゐると、女中がみしり/\梯子段を昇つて來た。