近くの古池からはなにかいやな沼気が
立ちのぼるかと思われた。
けれども彼の言葉の奥の感情はキミ子をめぐり、そこから
立ちのぼる嫉妬の濛気があつた。
天才の夢は空の雲に似て、地上はるかに見えても、それは畢竟、地上から
立ちのぼる水蒸気のかたまりに過ぎない。
貞吉と秋子とは視線を揃えて工場の煙突から
立ちのぼる黒煙に向けた。
から/\と軋り行く※の右左、みだれ咲く菜の花遠くつゞきて、蒸すばかり
立ちのぼる花の香の中を、黄なる、白き、酔心地に蝶の飛びては憩ひ、いこひてはとぶ。
廊堂のこの狭い密房に
立ちのぼる、このわが囁に聞き給へ、而して御諭を授け給へ。
やまがらは、くびをかしげて、不思議そうに、餌ちょくから
立ちのぼる湯気をながめていました。