灰色の巨人が榛の間に豕を駆つて
行くかと思ひますと、大ぜいの矮人が紅い帽子をかぶつて、小さな白い牝牛を、其前に逐つて参ります。
それから向うに何か見つけ、その方へ一散に走って
行く。
ある年の春、Nさんはある看護婦会から牛込の野田と云う家へ
行くことになった。
尾生は水際から歩をめぐらせて、今度は広くもない洲の上を、あちらこちらと歩きながら、おもむろに暮色を加えて
行く、あたりの静かさに耳を傾けた。
「この犬の名は飛べと言って、誰でも背中へ乗ってさえすれば百里でも千里でも、空を飛んで
行くことが出来る。
修善寺は前に一晩泊つたことがあるきりで、べつにいい所だとも思はなかつたが、ほかに
行くつもりだつた所が、宿の都合がわるいと断つて来たので、そこにしたのだつた。
だから彼女は在学中も、彼と一しよに展覧会や音楽会へ
行く事が稀ではなかつた。
松岡と分れて、成瀬と二階の教室へ
行くと、もう大ぜい学生が集つて、ノオトを読み合せたり、むだ話をしたりしてゐた。
と云ふのは階段の丁度中程まで来かかつた時、二人は一足先に上つて
行く支那の大官に追ひついた。