私はこの小都市に住んで、年に二度ぐらいしか上京しないが、日々の読み物、そして心の
赴く物は人の世の中心的なもの、本質的なものからそれることはできない。
尤も娘を誘惑できるやうな有為な騎士ではないから、実は、娘に案内させて、怪げな喫茶店へ
赴くのである。
信越線小諸をすぎ、田中といふ小駅で下車して、地蔵峠を越え鹿沢温泉へ
赴く途中、雷に見舞はれ、密林の中へ逃げた。
如水はひどく義理堅くて、主に対しては忠、臣節のためには強いて死地に
赴くやうなことをやる。
其模糊たると、歴々たるとを問はず、夢は常に其
赴くが儘に赴いて、我意力は之に対して殆ど其一劃を変ずるの権能すらも有してゐない。
世界の屋根、パミール高原中の大魔境「大地軸孔」をさぐるため、近日ロンドンを出発、英印連絡空路により、アフガニスタンのグワダールへ
赴く予定。
この死の谷の不可思議な謎を解くために学者の一団が探検に
赴くことになる。
直ちに外科室の方に
赴くとき、むこうより戸を排してすらすらと出で来たれる華族の小間使とも見ゆる容目よき婦人二、三人と、廊下の半ばに行き違えり。
憤慨と、軽侮と、怨恨とを満たしたる、視線の
赴くところ、麹町一番町英国公使館の土塀のあたりを、柳の木立ちに隠見して、角燈あり、南をさして行く。