やぶれた帽子、よごれた服、ひもじさうな眼つきで、
通りすぎる二人に恵みをもとめたのである。
急行列車が駅にとまると、二人か三人の私服刑事らしき人物が車内の人物の面相を読みつつ窓の外を
通りすぎる。
その途端に、金魚のように紅と白との尾鰭を動かした幻影が鼻の先を
通りすぎるのが感ぜられた。
見上げると、高い石の橋欄には、蔦蘿が半ば這いかかって、時々その間を
通りすぎる往来の人の白衣の裾が、鮮かな入日に照らされながら、悠々と風に吹かれて行く。
橋の上から見ると、川は亜鉛板のように、白く日を反射して、時々、
通りすぎる川蒸汽がその上に眩しい横波の鍍金をかけている。
時々小さい火の光りが流れるように
通りすぎるが、それも遠くの家の明りだか、汽車の煙突から出る火花だか判然しない。
」と唱えながら、頭をかかえて一本の大きな木の下に逃げ込んで、夕立の
通りすぎるのを待っていました。
砂村から葛飾野の空へかけて、ザアッ、ザアッ、と早足の雨がうなって
通りすぎるのです。
と、時々その中から、黒く拔出して、跫音を沈めて來て、門を
通りすぎるかとすれば、閃々と薄のやうなものが光つて消える。