それ以来、中平が到着すると三吉は奥へ立って彼が
立ち去るまで姿を見せなかった。
バタバタと倒れ去る十六名の姿の中で、冷然と注射器を処理し、札束をねじこみ、靴をはき、おそらく腕章をはずして
立ち去る犯人の姿。
危いから、これこれの人を頼って行けと握り飯を持たせてやったが、この男は
立ち去るまで挙動は尋常で、食事なども静かに充分に食べて、夜も熟睡していたぜ。
化かす積りならば、そのまま無事に
立ち去る筈もあるまいと思うに付けて、ほろよい機嫌の道楽者は俄かに一種のいたずらっ気を兆した。
聴き捨てにする人は少なく、一銭二銭を彼の手に握らして
立ち去るが多かった。
だがかういふ素晴らしい人の面前では彼の口は閉されて、佛蘭西語も急に出なくなつて、たゞ相手をぢつと見つめて、部屋から
立ち去るまでぶす/\吃るだけの事であつた。