素より田舎の事とて泥臭いのは勿論だが、兎に角常陸から下総、利根川を股に掛けての縄張りで、乾漢も掛価無しの千の数は揃うので有った。
釣遊の目的は、
素より魚を獲るにあれども、真の目的物は、魚其の物に非ずして、之を釣る興趣にあり。
それが責められるとしても、これ以上愚答を述べるのは堪へ難いし、金瘡や接骨の藥法は
素より知悉してゐないのであるから、その妙術を惜んで傳へぬのでもない。
素より叔父が買い度いと云うのは不思議で無い、幽霊塔の元来の持主は叔父の同姓の家筋で有る。
斯の如き事たる
素より今の思想界の必当の運命たるべしと雖、心あるもの陰に前途の濃雲を憂ふるは、又た是非もなき事共かな。
素より戯曲には種々の規則あり、罪過を以つて唯一の規則となすは不可なるべしと雖も、之が為めに罪過は不用なりと言ふあらば亦た大に不可なるが如し。
按ずるに鍾馗大臣の如き、明皇夢中に見る所と做すは
素より稗官の妄誕のみ。
然れども、吾人
素より哲学者にあらず、曷んぞ斯かる面倒なる事を議論するの志あらんや。
夫れ然り、然りと雖も話術家にして巧に話の筋を作為し、自ら之を演ぜんか、是れ
素より上乗なる者、彼の旧套を脱せざる昔話のみを演ずる者に比すれば同日の論にあらず。