どの組もどの組も、縛っている方が労働者の風をして、縛られている方が
紳士の服装をしているから、奇体です。
紳士は少年を残したまま、さっさと向うへ行ってしまう。
殊に一人の老
紳士などは舷梯を下りざまにふり返りながら、後にいる苦力を擲ったりしていた。
が、とにかく
紳士と呼ぶのに躊躇することだけは事実である。
紳士は背のすらっとした、どこか花車な所のある老人で、折目の正しい黒ずくめの洋服に、上品な山高帽をかぶっていた。
それは何故かと云うと、本間さんにはその老
紳士の顔が、どこかで一度見た事があるように思われた。
「然しビフテキに馬鈴薯は附属物だよ」と頬髭の
紳士が得意らしく言った。
かくて
紳士の脱捨てし駒下駄のみは独り障子の内に取入れられたり。
北庭筑波が撮影した写真を見ると、北畠ドクトルは英吉利風の頬髯を蓄へた、容貌魁偉な
紳士である。
と石井翁は消えゆく煙の末に浮かび出た洋服姿の年若い
紳士を見て思った。