しかし、彼はついにダブリンに
落着き、新しく建てられるアイルランド文芸座のためにイエーツやグレゴリイ夫人と共に劇作することになつた。
然し第一流に居る者は大抵穏やかな、思慮も大きくて
落着きのある人間で持つて居る。
もう電車がなくなる時刻だな、とか、家へ帰れなくなるなア、などと口先では言ひながら、庄吉は
落着き払つてゐて、帰れなくなることを予期してゐる様子であつた。
殊に私の起臥していた書院造りの八畳は、日当りこそ悪い憾はあったが、障子襖もほどよく寂びのついた、いかにも
落着きのある座敷だった。
又かうした危急の場合には人の性格がよく現はれるものである、先生の喜怒を表はさぬ
落着きぶりは日常と一寸も變らず、沈勇の人といふ感を深くした。
東京築地の魚河岸における朝の生簀には、その偉容、実に横綱玉錦といった風な面構えをもって、水底に悠然たる
落着きを見せている。
自分は敷島を啣へて、まだ仏頂面をしてゐたが、やはりこの絵を見てゐると、
落着きのある、朗な好い心もちになつて来た。
其角に次いで羽根楊子をとり上げたのは、さつき木節が相図をした時から、既に心の
落着きを失つてゐたらしい去来である。