百目
蝋燭の燃えている銀の燭台が、幾本となく立て並べられている。
いつぞや『金の
蝋燭』というお話をしたことがありましょう。
ところが、その
蝋燭が馬鹿に重いので、こいつは変だなと云って、人足のひとりがその一本をそこらの杭に叩き付けてみると、なるほど重い筈だ。
師匠も無論その覚悟でたくさんの
蝋燭を用意させて置いた。
梢の隙間を洩れて来る日光が、径のそこここや杉の幹へ、
蝋燭で照らしたような弱い日なたを作っていた。
蝋燭の焔と炭火の熱と多人数の熱蒸と混じたる一種の温気は殆ど凝りて動かざる一間の内を、莨の煙と燈火の油煙とは更に縺れて渦巻きつつ立迷へり。
しかしいまだに僕の家には薄暗い納戸の隅の棚にお狸様の宮を設け、夜は必ずその宮の前に小さい
蝋燭をともしている。