なぜなら、あれは、いわゆる私小説とは
趣きを異にしている。
厳粛な宮中の祭祀の中で、一種ひようきんな
趣きを見せてゐたものに、大宮之※祭りがある。
音に聞くシャン・ゼリゼーの通りが余りに広漠として何処に風流街の
趣きがあるのか歯痒ゆく思えた。
庭は広く、木も立ちこんで、廂の深い、それは古風な幽雅な
趣きもあり、豊かな気持もあるが、どの室にも日光が直接には当らない。
それに三角形の現わす奇異な感情は、円とか五角形とかのあらわすところとは余程
趣きを異にしていて、如何にも我が意を得たる絶好の対象物だと思ったのでした。
菩提樹の下に牛遊ぶ「大いなる田舎町」の
趣きも見えぬ。
久し振で歸つて見ると、嘗ては『眠れる都會』などと時々土地の新聞に罵られた盛岡も、五年以前とは餘程その
趣きを變へて居る。
秋風が朝から晩まで吹いて、見るもの聞くもの皆おおいなる田舎町の
趣きがある。
落花の黒髮にかゝる風情、袂や裾に散る
趣きも、今では皆がいきなり手を出して掴むぐらゐな意でゐる。
高台にある町ゆゑに上町とよばれたまでで、ここには東京の山の手といつたやうな意味も
趣きもなかつた。