処が、翌月の事、家持の生前東宮大夫として事へて居た早良皇太子が、新都
造営主任であつた藤原種継を暗殺せしめられた事件が起つた。
だが、筆者は既に中老、性の方面はドライの域に入りて数年、いまはただ食味の方面のみ、人生の
造営を眺めているのである。
大体彼は建築道楽で、寛正の大飢饉に際し、死屍京の賀茂川を埋むる程なのに、新邸の
造営に余念がない。
かかる際にも不拘、大内裏の
造営は企劃され、諸国の地頭に二十分の一の得分をその費用として割当てて居る。
政府も、学校も、工場も、賭場も、女郎屋も、淫売屋も、教会も、寺院も、悉く是れ吾等自ら幻影を追ふて建設したる
造営物に過ぎない。