突然敵が現れて
銃声がきこえると、その場へ伏して応戦しながら、ホッとする。
一方、吾郎にこうして三時のアリバイをつくらせる友子が、三時の
銃声に吾郎の犯行と思ってピストルを隠す。
それよりも更と不思議なは、忽然として万籟死して鯨波もしなければ、
銃声も聞えず、音という音は皆消失せて、唯何やら前面が蒼いと思たのは、大方空であったのだろう。
とたんに、それがきっかけでもあるかのように、戸外で、だだだだだン、だだだだンと、はげしい
銃声がきこえた。
その内、李鎰自身も怪しく思って騎馬武者を斥候に出すと、忽ちに
銃声響き、その男は馬から落ちると、首を獲られてしまった。
二三発、
銃声が後から響いたように思われるが、それも彼の耳には、夢のようにしか聞えない。
銃声はあたりの日曜日のような静けさを破り、こだまとなって尾をひき、怒ったように鳴りひびくのだった。