即ち五月の初旬、所謂る降りみ
降らずみ五月雨の晴間なき夕、所用あって赤阪辺まで出向き、その帰途に葵阪へ差掛ると、生憎に雨は烈しくなった。
従って雨は依然として
降らず、人間の血液は甚だ濃厚粘稠になり、喧嘩や殺人の数が激増した。
その中に春が来たらしく、雪も
降らず風もあたたかくなって、勘太郎が行く山道を横切る雪も白くふわふわとして来ました。
本間さんはとうとう思い切って、雨が
降るのに荷拵えが出来ると、俵屋の玄関から俥を駆って、制服制帽の甲斐甲斐しい姿を、七条の停車場へ運ばせる事にした。
九月七日——「昨日も今日も南風強く吹き雲を送りつ雲を払いつ、雨降りみ
降らずみ、日光雲間をもるるとき林影一時に煌めく、——」
是よりいたして雨の
降る夜も風の夜も、首尾を合図にお若の計らい、通える数も積りつゝ、今は互に棄てかねて、其の情漆膠の如くなり。