しかしながら愛好する肴を舌にのせたとき、
陶然とした気持ちは、なにごとにも替え難い。
ある日のこと、一本のビールに
陶然として、彼は、こつちで訊きもせぬ諸国美人の品定めをしはじめたが、ふと、眼の色を変へて、
彼にあつては、思想が恰も掌の上にあるかの如く見え、読者は常に身軽な逍遥の道づれとして彼一流の語り方に耳をくすぐられ、
陶然とする。
なお、文楽で科白が地の文に融け合う美しさに
陶然としていたので会話をなるべく地の文の中に入れて、全体のスタイルを語り物の形式に近づけた。
海賊と波濤とを敵とせる伊勢平氏の子弟にして、是に至る、誰か
陶然として酔はざるを得るものぞ。
降りつゞきし雨、路上に微泥をとゞめて、空さりげなく、片雲だになき好天氣、日影ほか/\と暖きに、醉さへ加はりて、
陶然として歩す。
酒に
陶然として醉ひ、宿を立ち出でて、まづ前遊の時立ちよりし茶店に茶を乞はむとて、戸を推せば、恰も入れちがひに、一人の僧の歸りゆくあり。