まず約一〇万年の間人類は一種の精神的冬眠の状態にあったのでいかなる点でも現在の最未開な自然民俗に比べて相
隔ることいくばくもない有様であった。
四五年前まではあの時代を懐しいことに思ひ、時々回想したが、今はもうあまり時が
隔つてしまひ、大して興味を感じない。
肥後熊本の細川越中守の藩中は、天草とはただ一脈の海水を
隔つるばかりであるから、賊徒蜂起の飛報に接して、一藩はたちまち強い緊張に囚われた。
母屋と、仲間部屋とは、遠く
隔っているので、主従の恐ろしい格闘は、母屋に住んでいる女中以外、まだだれにも知られなかったらしい。
見ると、海岸から一里も
隔っている海上を、異様な怪物が、黒色の煙を揚げつつ疾駆しているのだった。
そこへどこからか鴉が一羽、二三町
隔った砂浜の上を、藍色にゆらめいたものの上をかすめ、更に又向うへ舞い下った。
殊にあゝ云ふ百里余も
隔つた田舎ですから、それまでは未だ活版と云ふものを知らなかつたので、さあ読んで見ると又面白くつて仕様がない。
三輛の馬車は相
隔つる一町ばかり、余の馬車は殿に居たので前に進む馬車の一高一低、凸凹多き道を走つて行く様が能く見える。