この男は、
頤の先に、鼠の尻尾のやうな髯を、申訳だけに生やして、踵が隠れる程長い※布衫に、結目をだらしなく垂らした茶褐帯と云ふ拵へである。
マッチの火がシューッと鳴って、青年の
頤のあたりを黄色く照らした。
林田の赤かった顔色が、見る見るうちに蒼醒めて、話が終ると、額のあたりに滲み出た油汗が、大きな滴となってトロリと頬を斜に
頤のあたりへ落ち下った。
頤の辺まで湯に漬りながら、下歯をガクガクと震わせながら、しかも彼は身動きすることを怖れて、数瞬じいっと耐えていた。
どうかすると、顔の位置を換えるだけでは、安心が出来なくなって、頬杖をついたり
頤の先へ指をあてがったりして、根気よく鏡を覗いて見る事もあった。
藤四郎はそれにふと眼をつけると、すぐ手先どもに
頤で知らせた。
彼は、焦茶色の外套の襟で
頤を隠して、鳶色のソフトを眼深に引き下げていた。
その大きな拳で、わしの
頤をつきあげようというのだろう。
頬が、こけてゐるから、
頤が、人並はづれて、細く見える。
旅僧は年紀四十二三、全身黒く痩せて、鼻隆く、眉濃く、耳許より
頤、
頤より鼻の下まで、短き髭は斑に生ひたり。