老人は古びた青天鵞絨を、少年は青い帽子に粗羅紗の上衣をきて、
頸には青い珠の珠数をかけてゐる。
緑いろの鳥打帽をかぶった、薄い痘痕のある物売りはいつもただつまらなそうに、
頸へ吊った箱の中の新聞だのキャラメルだのを眺めている。
すると彼は硝子窓の下に人一倍細い
頸を曲げながら、いつもトランプの運だめしをしていた。
そう云えば「こんたつ」と称える念珠も手
頸を一巻き巻いた後、かすかに青珠を垂らしている。
のみならず
頸のまわりへ懸けた十字架形の瓔珞も、金と青貝とを象嵌した、極めて精巧な細工らしい。
——と思った時、何小二の
頸のつけ根へは、何とも云えない、つめたい物が、ずんと音をたてて、はいったのである。
それからその机の側にある、とうにニスの剥げた茶箪笥の上には、
頸の細い硝子の花立てがあって、花びらの一つとれた造花の百合が、手際よくその中にさしてある。
それから又僕の隣りにゐた十二三の女生徒の一人は若い女教師の膝の上に坐り、片手に彼女の
頸を抱きながら、片手に彼女の頬をさすつてゐた。
それが飛びつくやうに「しめおん」の
頸を抱くと、喘ぐやうに「私が悪かつた。
その
頸には白い汗衫の襟が、かすかに香を焚きしめた、菜の花色の水干の襟と、細い一線を画いてゐる。