馭者はビロードの服にナポレオン帽を戴いているという始末で、とにかく珍らしくもあり、また立派なものでした。
そんな事をきまり悪がつてゐては、何年たつてもゲエテの家の
馭者にだつてなれはせぬ。
馭者が馬を追う声がして、ぎしぎしと車体の軋めく音が近付いて来た。
技手は手袋を嵌めた両手を、自動車の柁機に掛けて、真つ直ぐに
馭者台に坐つて、発車の用意をして待つてゐる。
けれども、若い
馭者は、乾草をなお身体のまわりに集めかけて、なるだけ風が衣服を吹き通さないようにするばかりで橇からは立上ろうとはしなかった。
ゆうべ(七月十九日)は佐佐木茂索君と馬車に乗つて歩きながら、麦藁帽をかぶつた
馭者に北京の物価などを尋ねてゐた。
しかし十九世紀のシヨウペンハウエルは
馭者の鞭の音を気にしてゐる。
兎角は一押、と何處までもついて行くと、其の艷なのが莞爾して、
馭者には知らさず、眞白な手を青い袖口、ひらりと招いて莞爾した。