たとえば『倭名類聚鈔』には、「髭」「
鬚」をそれぞれ「上つ髭」「下つ
鬚」などと訓んでいるが、こんなことはいわない。
皮膚の色が並はづれて黒い上に、髪や
鬚の縮れてゐる所を見ると、どうも葱嶺の西からでも来た人間らしい。
幾星霜をや経たりけん、躯尋常の犢よりも大く、眼は百錬の鏡を欺き、
鬚は一束の針に似て、一度吼ゆれば声山谷を轟かして、梢の鳥も落ちなんばかり。
乞食は
鬚だらけの顔を挙げて太郎さんをジロジロ見ましたが、やがてニヤリと笑って、
年はもう五十を越しているのであろう、鉄縁のパンス・ネエをかけた、鶏のように顔の赤い、短い頬
鬚のある仏蘭西人である。
名道人畏り、白き長き
鬚を撫で、あどなき顏を仰向けに、天眼鏡をかざせし状、花の莟に月さして、雪の散るにも似たりけり。
彼は身の長けがはなはだ高く、顔色が青白く、皺の間にいつも傷痕が交っていて胡麻塩
鬚が蓬々と生えていた。