伊勢崎九太夫はある日二人の
麗人から奇妙な依頼をうけた。
まだ半年とたちはしない近頃の話で、それも当年二十才の素敵な
麗人だといふ事だから、毎晩おそく酔ひ痴れて帰る度に夫人にギュウギュウやつつけられるものらしい……
その代り、酔っ払って、口説いて、ウンと云ってくれた
麗人は一人もいなかった。
「あんまり美しすぎて誰も口説いてくれないといふ
麗人の場合があるさうだけど、信ちやんなんかも、その口かい? でも、ずゐぶん、口説かれたことだらうね。
身近を通った跫音には、心も留めなかった
麗人は、鳥の唄も聞えぬか、身動ぎもしないで、そのまま、じっと。
「将軍はなぜ
麗人を同道して、こんな蕃地へ踏み込んでお出でになったのです。
浴客がゆかた掛けに
麗人を具して釣りする姿を見るは、早川のみにある風景である。
と驚いて帆村が叫んだのがキッカケのように、かの洋装の
麗人は呀っという間もなく崩れるように地面に膝を折り、そして中心を失ってドタリと鋪道の上に倒れてしまった。
桂月香は八千の妓生のうちにも並ぶもののない
麗人である。
藤の花の紫は、眞晝の色香朧にして、白日、夢に見ゆる
麗人の面影あり。