母は家財や着物の焼けたのは少しも惜しがらず、私の絵に関した品々の焼失を
いたく惜しんでくれた。
と云ふに、女の肩いよゝをのゝき、把られたるわが手、亦、
いたくふるひぬ。
恐らく代価を出し惜みする為めならむと思ひ、その由を金子氏まで申出でしが、あとにて余り我儘を云ひたりと気付き、
いたく後悔す。
十六日夜は渡良瀬河畔に父老と語り明かしつ、明けの日も爲めに
いたく時をうつしぬ、堤上の茂竹枯れて春は來ぬれど鶯も鳴かずなど訴ふるを聽て
その
いたく落ち着きたる、これを頼もしと謂わば謂え、伯爵夫人の爾き容体を見たる予が眼よりはむしろ心憎きばかりなりしなり。
壁は雪のように真白で、太陽に輝いている時は目が
いたくなるほどでした。