が、暗い廊下をつき当ると、驚いた事にはこの夜更けにも、まだ火影の
さしているばかりか、話し声のする小座敷があります。
と思うともう赤みの
さした、小さい実を一つ啄み落した。
と思って立止ると、いつか潮が
さし出したと見えて、黄泥を洗う水の色が、さっきよりは間近に光っている。
髪長彦は、大そう笛が上手でしたから、山へ木を伐りに行く時でも、仕事の合い間合い間には、腰に
さしている笛を出して、独りでその音を楽しんでいました。
しかし本多子爵は更に杖の銀の握りで、芳年の浮世絵を一つ一つ
さし示しながら、相不変低い声で、
それからその机の側にある、とうにニスの剥げた茶箪笥の上には、頸の細い硝子の花立てがあって、花びらの一つとれた造花の百合が、手際よくその中に
さしてある。
ぢやによつて沖を通る廻船さへ、時ならぬ潮の
さしひきに漂はされて、水夫楫取の慌てふためく事もおぢやつたと申し伝へた。
そのやや赤みの褪せた花には、永い昼過ぎの日の光が、
さし交した枝の向き向きに、複雑な影を投げ合つてゐる。