娼妓といふ生活からの習性もあらうが、性質が本来頭ぬけて淫奔なので、肉慾も食慾も同じやうな状態で、喉の
乾きを医すやうに違つた男の肌をもとめる。
雲白く、秀でたる白根が岳の頂に、四時の雪はありながら、田は
乾き、畠は割れつつ、瓜の畠の葉も赤い。
これらの山々から瞰下されて、
乾き切っている桔梗ヶ原一帯は、黒水晶の葡萄がみのる野というよりも、橇でも挽かせて、砂と埃と灰の上を、駈けずって見たくなった。
岸には砂が溜まり、小さい砂丘の如き形をなしたところもあり、増水のときに水に浸つたのが未だ
乾ききれずに、自分の穿いたゴム靴が度々ぬかつた。
双肌脱いだ儘仰向に寝転んでゐると、明放した二階の窓から向ひの氷屋の旗と
乾き切つた瓦屋根と真白い綿を積み重ねた様な夏の雲とが見えた。
坂の降り口にある
乾き切った石段の横手の芝なぞもそれだ。
堅苦しく、行き詰ったような、
乾き切った感じを与うるものは芸術本来の姿であるまいと思う。
荒壁の
乾きぐあい、撒き水の飛沫の形をみて、はたと気づいて、
あゝ、其のよろこびの涙も、夜は片敷いて帶も解かぬ留守の袖に
乾きもあへず、飛報は鎭守府の病院より、一家の魂を消しに來た。