夫人はそれを幾つにも切つて客の皿に盛り、小物の皿をまはしてみんなが自由に
取り分けた。
取り分けて色をあきなう巷は夜も昼も押し合うように賑わっていた。
私の父が、いろいろな憎悪の中から、勝負事だけを、何故こんなに
取り分けて戒めたかということは、私が十三、四になってから、やっと分かったことなのです。
屋敷は勿論、町屋も四ツ過ぎには表の戸を閉めているので、寺町ともいうべき此の大通りは
取り分けて寂しかった。
取り分けてわたくしなぞは昔者ですから、ああいう芝居を見せられると、総身がぞくぞくして来て、思わず成田屋ァと呶鳴りましたよ。
取り分けて三月二十六日の夜は大雷、その翌日の昼もまた大雷雨で、江戸市中の所々に落雷した。
取り分けその娘の親らしい老人と供の男とは手を合わせて彼を拝んだ。
ここらは
取り分けて霜が多いと見えて、高い堤の枯れ草は雪に埋められたように真っ白に伏して、どこやらで狐の啼く声がきこえた。
いずれにしても、貝そのものを鉢代りに使い、貝ごと平鉢に盛って、銘々
取り分けて食する風情は、老いも若きも楽しめるものであると推奨する。
父は客に出した肴を自分にも手鹽皿へ
取り分けて呉れて、むしや/\と喰べることを許した。