書斎の唐紙をあけると、さすがの林忠彦先生も、にわかに中には這入られず、
唸りをあげてしまった。
凍りつくような空っ風が、鋪道の上をひゅーんというような
唸り声をあげて滑ってゆく。
が、彼の食いしばった歯の間を洩れる声には、ただ
唸り声と云う以上に、もう少し複雑な意味がある。
愛宕の幕切れに三宝を踏み砕いて、網襦袢の肌脱ぎになって、刀をかついで大見得を切った時には、小屋いっぱいの見物がわっと
唸りました。
ふだんと違って、すさまじい形相で
唸りながら、薄雲のあとを追おうとする。
そこで世界経綸の抱負と無産階級の意義と露西亜への好意と、マクドナルドの打倒——等々がアクセント許りに煮詰められた用語で拍手の
唸りを長閑に反応させてゐる。
蠅ばかりが、閑散な店の土間を一杯に、わんわんとかすかな
唸りをたてて飛び廻っているだけだった。
夜な夜な名古屋城の天主閣で、気味の悪い不思議な
唸り声がした。
まず、身長三尺五寸程と思われる小児の姿が法水の眼に映ったのであるが、なんと意外なことには、次の瞬間幅広い低音が
唸り出した。