そう言うよりは、教権を
奪うことが、政権をもとりあげることになるというところに目をつけたのが、この計画者の識見のすぐれていたことを見せている。
他人の票を散らすために立てられる候補者もあるが、他人の票を
奪うからには、それだけの顔も力もなければならぬ。
升田をキッカケに新人雲の如く起って、西に升田を叩きつぶす大山あれば、東に木村を破って名人位を
奪う塚田あり、A級の十名中には、旧人の名を見ることができない。
時代の波に浮かべてある生活の舟から完全に加速度を
奪うことができたら、これもまた魔術であろう。
此は、馬印がまといの勢力を
奪うたので、段々まといが忘れられて来た為である。
かれらは山林の茂みに潜んでいて、往来の婦女を
奪うのである。
僕等は生活様式や境遇は失業者に違いないが、一度、ハンマーを握らせ、配電盤の前に立たせ、試験管と薬品とを持たせるならば、彼等の度胆を
奪うことなどは何でもない。
約十年間郷里を離れていて、一昨年帰省してからも、やはり私の心を
奪うものは、人間と人間との関係である。
その花火の光を
奪うようにどこからか探照灯がひらひらと閃いて来て、真黒にうず巻いている人々の帽子や顔を蒼白く照して通る。