と思う内に、車は自分の前、ものの二三間隔たる処から、左の
山道の方へ曲った。
それならば、
山道三里半、車夫などにお尋ねになりますれば、五里半、六里などと申しますが、それは丁場の代価で、本当に訳はないのでござりまする。
その中に春が来たらしく、雪も降らず風もあたたかくなって、勘太郎が行く
山道を横切る雪も白くふわふわとして来ました。
自動車それ自身は決してハイ・スピードではないのだが、なんしろ大腸の解剖図みたいな
山道だ。
どうしてその時分じゃからというて、めったに人通のない
山道、朝顔の咲いてる内に煙が立つ道理もなし。
山道であるから木があったとて不思議はないのに、さもさも珍しげに打ち眺めては、しみじみと感に入りながら、またふわりふわりとやって行くのです。
夏山——山鶺鴒——斯ういふ言葉を聞いた丈でも、君は私達の進んで行く
山道を想像するだらう。
一年あまりも心の暗い旅をつづけて、諸国の町々や、港や、海岸や、それから知らない
山道などを草臥れるほど歩き廻った足だ。
それを知ってか知らずにか、百二十五名の移民はマニラで二日休養ののち、がたがたの軽便鉄道でダグバンまで行き、そこから徒歩でベンゲットの
山道へ向った。
石をはなれてふたたび
山道にかかった時、私は「谷水のつきてこがるる紅葉かな」という蕪村の句を思い出した。