Ｎさんは氷嚢を取り換えながら、時々その頬のあたりに
庭一ぱいの木賊の影が映るように感じたと云うことである。
僕はとうとう控室の前へ出、砂利を敷いた
庭を歩きはじめた。
それはこの
庭の静寂に、何か日本とは思われない、不可思議な魅力を添えるようだった。
しばらくはぼんやり腕組みをしながら、
庭の松ばかり眺めていました。
朝からどんより曇っていたが、午ごろにはとうとう雪になって、あかりがつく時分にはもう、
庭の松に張ってある雪よけの縄がたるむほどつもっていた。
しかし
庭鳥と思つたのはＫさんにはほんの一瞬間だつた。
廊下へ出て、黄いろい葉を垂らした
庭の樹木を見下してゐると、豊田実君が来て、「ちよいとノオトを見せてくれ給へ」と云つた。
北
庭筑波が撮影した写真を見ると、北畠ドクトルは英吉利風の頬髯を蓄へた、容貌魁偉な紳士である。
爾来
庭は春になると、見慣れた松や柳の間に、桃だの杏だの李だの、雑色の花を盛るやうになつた。
玄関の東側には廊下があり、その廊下の欄干の外には、冬を知らない木賊の色が一面に
庭を埋めてゐるが、客間の硝子戸を洩れる電灯の光も、今は其処までは照らしてゐない。
