「引きずられる」の例文

「引きずられる」の書籍での例文

高歯の足駄を庭先へ持ち出して、さも大儀げにそれを引きずる跫音である。

竹藪の家

坂口安吾

法信は引きずられるようにして和尚の部屋にはいった。

死体蝋燭

小酒井不木

解いてうしろに垂れると、裾に引きずる。

三味線の胴

上村松園

二人の男達も、無抵抗に引きずられるようにするするついて走り込んだ。

決闘場

岡本かの子

これを相手に廻せば、いずれは身の破滅と知りながら、ついそれに引きずられるのが人間の弱さでしょう。

あるニュウ・フェイスへの手紙

岸田国士

太い引きずるような波鳴りの聞えるうらさびた田舎道を、小一時間も馬を進ませつづけていた私達の前方には、とうとう岬の、キャプテン深谷邸が見えはじめた。

死の快走船

大阪圭吉

僕は彼を引きずるようにし、粉雪のふる往来へ出ることにした。

彼　第二

芥川竜之介

首を反つくりかえらして口には雪のような泡を噛み、怒つた蟷螂のように前肢を挙げ、必死になつて轡にぶら下る雑兵四、五人を引きずるようにして出て来た。

余裕のことなど

伊丹万作

流し場を歩くのを危ぶながつて、私に腕を支へられながら、引きずられるやうにして、やうやくその萎びた細脛を運ぶことが出來た。

蠢く者

葛西善蔵

それが今はどうだろう？　まるで自分の体を引きずるようにして行くのだ。

わがまま

伊藤野枝

「引きずられる」のオンラインでの例文

命に引きずられるわたしは野良猫のように叫んだ、怯えた目、嫌悪の目で見られながら六歳で死去、祭壇の前で苦痛を求めすぎたせいで自分自身がお墓になった。

夜野なみだ（詩と日常）

漫画『ピーナッツ』に登場するライナス少年が、肌身離さず毛布を引きずる有様にちなんで、心理学では「ライナスの毛布」とも呼ばれます。

箱男

金属の擦れる音が、神楽鈴のように聞こえるワゴンを引きずる音。

大河内健志

フライパンの輪郭をなぞるように綺麗に焼き上げられていた玉子も、ほつれた裾を引きずるようになった。

肺つべ

そして、「天才教育だぞ、ぶっ叩いてて引きずるぞ」とＯ次郎を棒で殴り、そのまま大喧嘩に発展。

藤子Ｆノート

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