もっとも今は伊香保だけしか売っていないようですが、昔は東京にでも花時などに売っているのを
往々見かけた。
さうして菊判の本の下へポケット、ブツクを蔵つて了つて、俺の手帳が無くなつたと呟き出すことは、
往々にして有り勝ちな事である。
子ども同士がたがひに影を踏み合つてゐるのは別に仔細もないが、それだけでは面白くないとみえて、
往々にして通行人の影をふんで逃げることがある。
愛情ばかりで智慧の判断の伴わない慈悲は
往々にしてまた利己主義の慈悲になります。
しかれども読者諸彦のしばしば書を寄せて過当の奨励をなすもの
往々これあるにより厚顔にもここにふたたび印刷職工を煩わせり。
後生、唐の詩文を読み街鼓に及ぶ者、
往々にして茫然知る能はず。
その普通といふのは主に短いものを書く場合で、長いものになると書いてゐる中に、作中の人間なり事件なりが予定とは違つた発展のしかたをすることが
往々ある。
若い時には極度に苦しんだり悲しんだりすると、
往々卒倒して感覚を失うことがあった。
靜かな曇り日に、數千の甍が遠く相並んでゐて、その間に
往々神社佛閣の更に大きなものが聳え出てゐるのを瞰望してゐると、如何にも平和であるといふ氣が起つて來る。