かれの胸は
憤怒に燃えた、かれはだまって歩きつづけた。
清痩な「喪章」を見ると、脱帽のことで起つた僕の
憤怒の心がいつか静まつた。
その惨めなさまが、尚更俺の
憤怒の火に油をそゝいだ。
「畜生!」と、彼は椅子から飛びあがって、
憤怒の余りに顎鬚を逆立てて叫んだ。
彼はもう驀地に自分の癇癪に引き入れられて、胸の中で
憤怒の情がぐん/\生長して行くのが気持がよかつた。
持つて行き場のないやうな
憤怒で、二人は定連と一緒に酒のあるところに転がり込んだ。
しかしその恐怖も、彼の細君が駆られた
憤怒に比べては物のかずではなかった。