大学を出ても、まだ他人の家の厄介になっていて、何らの職業も、見つからないのに、彼の
故郷からは、もう早くから、金を送るようにいってきていた。
浪華の倉屋敷で、国元の母が死去したという知らせを得たのは、彼が三十八の年である、
故郷を出てから十六年目であった。
彼は、本国への使者として浪花表で本隊と離れ、大和伊賀をさ迷った末、
故郷へ辿りついたのである。
こう、小北と姓を言うと、学生で、
故郷の旧友のようであるが、そうでない。
不思議な事には、クサンチスはその話を聞いてゐながら、自分の記憶してゐた
故郷の事を思ひ出した。
これをお前たちに預けるから、お前たちの
故郷の女君に渡してくれい。
その夜、
故郷の江戸お箪笥町引出し横町、取手屋の鐶兵衛とて、工面のいい馴染に逢って、ふもとの山寺に詣でて鹿の鳴き声を聞いた処……
さもあらばあれ、われこの翁を懐う時は遠き笛の音ききて
故郷恋うる旅人の情、動きつ、または想高き詩の一節読み了わりて限りなき大空を仰ぐがごとき心地す」と。
譲吉が高等商業の予科に在学中、
故郷に居る父が破産して危く廃学しようとした時、救い上げて呉れたのは、譲吉の同窓の友人であった近藤の父たる近藤氏であった。
天涯孤独の境遇は、転々とした放浪めく生活に馴れやすく、
故郷の町は私の頭から去つてしまつた。