すぐ駅の俥を雇って町中を曳かれて行くと、ほのぼの
明けの靄の中から大きな山葵漬の看板や鯛のでんぶの看板がのそっと額の上に現われて来る。
二合目で、今まで気が注かなかった山中湖が、半分ほど見えて来た、室は無論人はいないが、それでも
明けッ放しになっている。
その早暁、まだ
明けやらぬ上海の市街は、豆スープのように黄色く濁った濃霧の中に沈澱していた。
引き
明けた戸口から、石でも投げ付けるように、小さな声が一斉に叫び立てた。
の声があって、ご開門と同時にお出ましがかっきり
明け七ツ。
ところが日清戦争、連戦連勝、軍隊万歳、軍人でなければ夜も日も
明けぬお目出度いこととなって、そして自分の母と妹とが堕落した。
この時この水口の戸を開いたのは、いや戸を開いたばかりではない、腰障子もしまひに
明けたのは、濡れ鼠になつた乞食だつた。
呼ばれて至りて日ひとひ夜ひとよとかく遊ぶやうにて
明けにけり。
それから一月許りたつた雪の朝、まだ夜の
明けぬうちから突然玄関の呼鈴が乱暴に鳴つたので、驚いた寿枝が出てみると、楢雄が真青な顔で突つ立つてゐた。