だが、やがて雲は流れ尽き、峯は胸から下界へ向けて虹をかけ
渡していた。
老人は人の悪い笑い顔をしたまま、僕の手に古い望遠鏡を
渡した。
僕はこの門の前に立ち、長い半白の髭を垂らした、好人物らしい看守に名刺を
渡した。
それからまた嚢の口へ、厚い糸の敷物を編んで、自分はその上に座を占めながら、さらにもう一天井、紗のような幕を張り
渡した。
そこで取次ぎに出て来た小厮に、ともかくも黄一峯の秋山図を拝見したいという、遠来の意を伝えた後、思白先生が書いてくれた紹介状を
渡しました。
これをお前たちに預けるから、お前たちの故郷の女君に
渡してくれい。
源起きいで誰れぞと問うに、島まで
渡したまえというは女の声なり。
と葉子がいいながら階段をのぼると、青年は粗末な麦稈帽子をちょっと脱いで、黙ったまま青い切符を
渡した。
大森は「ちょっと」と言って、一口吸った煙草を灰に突っこみ、机に向かって急いで電文を書き終わり、今までぼんやり控えていたお清にそれを
渡して、