海上には数千の
小舟を敷きつめて待ちぶせてゐたから漏れる隙間はなかつた筈だが、次兵衛の姿はなかつた。
そこで、舟を東南五、六里の岸に移して、果たしてかれらの言うような船が来るかどうかと窺っていると、やがて一艘の
小舟がくだって来た。
鱸その他の川魚を漁する人の、豊島の渡よりこゝの渡にかけて千住辺りまでの間に
小舟を泛めて遊ぶも少からず。
その浪がこの邊に住んでゐた百姓の一人息子を容赦なく避難の
小舟から奪ひ去つたのだ。
その洞門のうがたれつつある巌壁の前には黄の菰莚、バラック、鶴嘴、印半纒、
小舟が一二艘、爆音、爆音、爆音である。
私の旅館の若主人が釣好きで、時々
小舟に乘せて、吾々夫婦を圓山川へ釣の案内してくれた。
馬鈴薯の花さくころ、街の
小舟はまた幾つとなく矢部川の流を溯り初める。
南は山影暗く倒に映り北と東の平野は月光蒼茫として何れか陸、何れか水のけじめさへつかず、
小舟は西の方を指して進むのである。
南は山影暗くさかしまに映り、北と東の平野は月光蒼茫としていずれか陸、いずれか水のけじめさえつかず、
小舟は西のほうをさして進むのである。