そこへ入って、ごたごたした
乗客の中へ島田が隠れた。
どの電車もどの電車も、前後不覚に寝そべった
乗客がゴロゴロしていて、まるで病院電車が馳っているような有様だった。
「……たとい電車の中の掏摸といえども、
乗客から蟇口を掏りとったときは、その代償として相手のポケットへチョコレート等をねじこんでおくべきだ。
ふむ、けさ地下鉄電車の中で、
乗客が話をしているのを、横からちょっと小耳にはさんだとおっしゃるのか。
すると
乗客の降り終るが早いか、十一二の少女が一人、まっ先に自働車へはいって来た。
とうに電燈のついた客車の中には、珍らしく私の外に一人も
乗客はゐなかつた。
そして葉子に対する
乗客の好奇心が衰え始めたころになって、彼は本気に葉子を見つめ始めたのだ。