さういふ心持が大学を卒業する後までも続いたが、段々
燃えるやうな力の崇拝もうすらいで、一年前から静かな力のある書物に最も心を惹かれるやうになつてゐる。
何という寛濶な衣であろう、それをまた……おそらく、谷初まって以来であろう、
燃えるような、紫の風呂敷に包ませて、出かける。
さういふところを通りぬけ、玉川に掛つてゐる無明の橋を渡つて、奥の院にまゐり、先祖代々の霊のために、さかんに
燃える護摩の火に一燈を献じた。
めらめらと
燃えるたくさんの和紙の中に、毛虫共は完全に命を終えた。
彼等が、火の
燃える山と砂の流れる河との間にゐて、おごそかに獣の命をまもつてゐた「むかしむかし」の話である。
編輯局には、室の廣さに釣合のとれぬ程大きい煖爐があつて、私は毎日此煖爐の勢ひよく
燃える音を聞き乍ら、筆を動かしたり、鋏と糊を使ふ。
いや、我々は炉に
燃える火や畠の野菜や素焼きの瓶や巌畳に出来た腰かけの中にも多少のマリアを感じるであらう。
僕は、これまで訪れたことのない世界の一角を眼にして、自分の
燃えるような好奇心を満足させ、人類の足跡を印したことのない国を踏むかもしれません。
五軒目には人が住んでいたがうごめく人影の間に囲炉裡の根粗朶がちょろちょろと
燃えるのが見えるだけだった。