もちろん、営業部からは続刊の希望もあったが、すでに一年間とさだめた終刊の時期も過ぎているので、名残り惜しいが
燈台の灯を消すことにした。
そればかりか、ふと気がつくと、灯の暗くなるのに従って、切り
燈台の向うの空気が一所だけ濃くなって、それが次第に、影のような人の形になって来る。
燈台から
燈台へ港から港へと辛じて渡りつつあるのだ。
東京の中は何処も大抵知つてゐるつもりでゐたけれども、
燈台もと暗し、洲崎をろくに知らずにゐたことを最近になつて気が付いた。
が、蝶鳥の几帳を立てた陰に、
燈台の光を眩しがりながら、男と二人むつびあふ時にも、嬉しいとは一夜も思はなかつた。