可笑かったのは、花時に向島に高
櫓を組んで、墨田の花を一目に見せようという計画でしたが、これは余り人が這入りませんでした。
で、真先に志したのは、城の
櫓と境を接した、三つ二つ、全国に指を屈するという、景勝の公園であった。
紅白の幕に同じ紅白の吹流しを立てて、赤く桜を染めぬいたお揃いの手拭で、鉢巻きをした船頭が二三人
櫓と棹とで、代る代る漕いでいる。
一年あまり風雨にさらされているので、白亜の壁はところどころ禿げ落ちて鼠色になり、ぜんたいは一見不恰好な灯台か、ふるぼけた火見
櫓とも見えた。
ギイギイと落ちついた
櫓音と共に、おどろきもせず慌てもせず漕ぎ寄せて来る気勢でした。
人々は彼が
櫓こぎつつ歌うを聴かんとて撰びて彼が舟に乗りたり。
あらず、あらず、ただ見るいつもいつも、物いわぬ、笑わざる、歌わざる漢子の、農夫とも漁人とも見分けがたきが淋しげに
櫓あやつるのみ。
徳二郎は平時の朗かな聲に引きかへ此夜は小聲で唄ひながら靜かに
櫓を漕いで居る。
徳二郎はいつもの朗らかな声に引きかえ、この夜は小声で歌いながら静かに
櫓をこいでいる。