路のほとりにやや大なる寺ありて、如何にやしけむ
鐘楼はなく、山門に鐘を懸けたれば二人相見ておぼえず笑う。
ぼうっと陽炎に霞んで程遠く西の彼方に天主教会堂の高く聳え立った
鐘楼が見え、そこら辺りに高層建築が氷山のように群立っている。
鐘楼は柱に蔦からまり、高き石段に苔蒸し、棟には草生ゆ。
聖堂の古風な
鐘楼、広場の物語めいた泉水、それに、空は低く、森は黒ずんでゐました。
山門をはいってずっと奥にゆきますと、
鐘楼があって、そこにまた格好のいい見事な枝垂桜があります。
妙信 (不安なる姿にて左右を顧※しつつ
鐘楼の石段に腰をおろして)さあ、このような恐ろしい晩に、黙っているのはよくないことだ。