岩が覗くその又上から人が覗いているのを認めて、この上もない驚き方をして、水鳥が慌だしく立つ様に、水煙を
立て逃げ出した。
乱暴に白い足袋を踏みつけられて、キャッと声を
立てる、それもかえって食慾が出るほどで、そんな下手もの料理の食べ歩きがちょっとした愉しみになった。
門に
立てる松や竹も田端青年団詰め所とか言う板葺きの小屋の側に寄せかけてあった。
従って衣食の計を
立てることは僕等の目前に迫っていた。
彼女は、ここまで来ると、いつもの癖で、母親が「お母ちゃん帰るかと、見て来よかあ?」という子守唄を歌ってはいないかと、耳を
立てるようにした。
それは三階の端に近いところで、一日ぢゆう絶対に陽の射す気づかひはなく、障子を
立てると昼すぎの一番明るい時でも持つて来た小型本を読むのが苦労だつた。
今夜は久しぶりにアグニの神へ、御伺ひを
立てるんだからね、そのつもりでゐるんだよ。
長刀短褐、笑つて死生の間に
立てる伊勢平氏の健児を中心として組織したる社会にして、是に至る、焉ぞ傾倒を来さざるを得むや。
一度聞耳を
立てるために天井に向けた顔をまた障子の方に向けなおした。