三十年前の本所は割り下水の柳を、回向院の広場を、お竹倉の雑木林を、——こう言う自然の美しさをまだ
至る所に残していた。
一醉漢ありて酒毒の爲に神經を錯亂せられ、これが爲に自殺するに
至りたる事ある時は、彼は酒故に自殺したりと言ふを躊躇せざるべし、酒は即ち自殺の原因なり。
若しその中に少しでも賑やかな通りを求めるとすれば、それは僅に両国から亀沢町に
至る元町通りか、或は二の橋から亀沢町に
至る二つ目通り位なものだつたであらう。
然るに吾人が爰にて物好きにも少しくライフの意義に就きて言はんと欲するに
至りたるは、決して偶然の事にあらざるなり。
もし彼が貴族の家に生れ、顕栄の位地に立つべき身を以て、農民を愛撫し、誠信を以て世に屹立するに
至りたる来歴を問はゞ、
したがって他人には天国を与えても、——あるいは天国に
至る途を与えても、天国はついにそれらの人々自身のものになることはできない。
のみならず大抵は動機に
至る道程を示してゐるだけである。
さうして又
至る所に、相手を待つてゐる婦人たちのレエスや花や象牙の扇が、爽かな香水の匂の中に、音のない波の如く動いてゐた。
海賊と波濤とを敵とせる伊勢平氏の子弟にして、是に
至る、誰か陶然として酔はざるを得るものぞ。
大いなる完成品に
至る途は、小なる完成品あるのみである。