やがてそれから月日も経って、従兄も無事に戦争から、
芽出度凱旋をしたのであった。
と直に松葉屋へ這入ると、婢「入らつしやい、お
芽出たうございます、相変らず御贔屓を願ひます、モシ、ちよいと御家内さん、福富町の旦那が。
姉妹二人暮しで、早く両親を失ったため、妹より十二も年上なSさんは、母の代りになって妹を育て、独身で稼いで、遂に
芽出度く女学校を卒業させることが出来たのだ。
それで待鳥、鵜殿、僕の三人はやまさんと九州男児を置き残して、
芽出度く外へ出ることができた。
「オイ、紫錦さん、お
芽出度う」源太夫は皮肉に冷かした。