森鴎外は、そのなかで、独り、日本の新しい演劇の方向を、専門家としてではなく、むしろ、外国文学紹介の卓越した
見識のうちに漠然とながらこれを指し示した。
近所の町や近在からも
見識らぬ人たちがたずねて来て、この奇蹟を礼讃して行った。
之に反して、新劇は見るに堪へないと公言して憚らない人のうちには、相当、
見識のある芸術愛好者が、可なり多くあることは事実です。
私は何よりも、あれほど「芸術的」に不評だつた戯曲を、進んで舞台にかけた築地小劇場の勇気、「演劇」といふものに対する当事者の徹底した
見識に頭を下げる。
おそらく彼の二人は多吉の顔を
見識っていて、飛んだ奴に出逢ったと周章狼狽して、早桶を抛り込んで逃げたのでしょう。
番頭といっても、まだ二十五六の痩せぎすの男で、わたしは幸八と申します、なにぶんお
見識り置きくださいと丁寧に名乗った。
見廻すとその中の五人は兼て一面識位はある人であるが、一人、色の白い中肉の品の可い紳士は未だ
見識らぬ人である。
佐山君はほとんど毎日のように師団司令部に出入りするので、監理部の向田大尉の顔をよく
見識っていた。