いま偶と寝
覚の枕を上げると、電燈は薄暗し、硝子戸を貫いて、障子にその水の影さえ映るばかりに見えたので、
叔父は枡屋善作(一説によれば善兵衛)と云う、才
覚の利いた旅籠屋である。
そのまた嗅
覚の刺戟なるものも都会に住んでいる悲しさには悪臭と呼ばれる匂ばかりである。
絵画又は造形芸術の対象となり得べきものは決して、形や色の感
覚のみに限られない。
また私の耳も日によってはまるっきり無感
覚のことがあった。
たとへば落款とか手法とか乃至紙墨などと云ふ物質的材料を巧に真似たものになると、その真贋を鑑定するものは殆ど一種の直
覚の外に何もないと云ふ事に帰着してしまふ。
この、筆者の友、境賛吉は、実は蔦かずら木曾の桟橋、寝
覚の床などを見物のつもりで、上松までの切符を持っていた。
男はずっと被りし手拭を脱り、小火鉢の向うへ坐した様子を見ると、何うも見
覚のある菅野伊之助らしい。
第一は、心的もしくは精神的存在の知
覚の段階であり、第二は、肉体的存在の知
覚のそれである。