程もあらせず、……廊下を急いで、もっとも授業中の遠慮、静に教員
控所の板戸の前へ敷居越に髯面……というが頤頬などに貯えたわけではない。
動もすればはやり勝ちな、一党の客気を
控制して、徐に機の熟するのを待っただけでも、並大抵な骨折りではない。
巻莨の手を
控へ掌に葉を撫して、何ぞ主人のむくつけき、何ぞ此の花のしをらしきと。
見ると彼の傍には、血色のいい、中背の細銀杏が、止め桶を前に
控へながら、濡れ手拭を肩へかけて、元気よく笑つてゐる。
大鐘の銘の文句を讀んでると、飛迫
控の三十もあるこの御堂、御堂の三十もあるこの市と、同じ高さに足が來てゐる。
修善寺の温泉宿、——館の家族の一婦人と、家内が桂川の一本橋向うの花畑へ連立つて、次手に同家の
控の別莊——あき屋である——を見せて貰つた、と言つて話した。
赤坂の見附に近い、唯ある珈琲店の端近な卓子で、工學士は麥酒の硝子杯を
控へて云つた。
棄てゝ行くには忍びぬけれども、鎭守府の旦那樣が、呼吸のある内一目逢ひたい、私の心は察しておくれ、とかういふ間も心は急く、峠は前に
控へて居るし、爺や!